2013年8月22日

CD規格外の「プラチナSHM」という音楽パッケージメディア

音楽CD、CDプレイヤーが発売されてから30年。(日本では1982年から)
映像はレーザーディスクからDVD、そしてBlu-rayへとメディアの移行が進んでいますが、音楽ではCDというパッケージが続いたままとなっています。(アナログ盤はなんだかんだと生き残っているけど、それより先にカセットテープやMDが駄目になってしまいましたね)

希少金属を反射面にということでは、以前に金を使ったCD(CD規格)がありました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/GOLD_CD

金蒸着のCDは私も何枚か持ってますが、まぁコレクター向けという存在。
今度はプラチナだそうです。

ユニバーサルミュージックから、音楽CDの規格である「CD-DA」に適合しない「プラチナSHM」というパッケージメディアが発売予定となっています。(第1回の発売は9月25日)

UNIVERSAL MUSIC JAPAN - プラチナSHM 公式サイト
http://www.universal-music.co.jp/international/platinum-shm/




SHMを高音質たらしめる要素は、信号の読み取り精度とピット形成の正確性。
ユニバーサル ミュージックとビクタークリエイティブメディアは、そのコンセプトを更に追求すべく研究を続けました。
そして辿り着いたのが、反射膜に純プラチナ(Pt1000)を使用すること。
この最高級の貴金属として有名な素材は、化学的に非常に安定していることなどから工業の世界でも重用されていますが、例えば、ミクロレベルの対象物を電子顕微鏡で忠実に撮影する為に使用されるプラチナ微粒子薄膜のきめ細かい表面特性は、ピットを正確に、かつ表面を極めて平滑に形成することに抜群の効果を発揮することが分かりました。
但しプラチナは、反射率においてコンパクト・ディスク・デジタル・オーディオ(CD-DA)の規格には適合しない素材。
しかし、音質を優先するため、あえてそれに反することを選びました。

加えて、その優位性を磐石にすべく、再生機内で反射する不要なピックアップ光(迷光)を吸収する効果のあるターコイズブルーでレーベル面をコート。
突き抜けるようなクリアネス、極太なダイナミクス、滑らかなタッチ、雄大なステージ、圧倒的なリアリティなど、その音質は、リスナーの期待を軽々と超えてくれます。
登場から30年余り、規格の枠を超えることでCDはさらに進化しました

こうもはっきりと音質での優位性を書いたのは珍しいんで全文引用しました。

日本ではまだまだパッケージメディアの市場があるからなのか、紙ジャケ復刻(コレクター向けとしてはアリですけどなんで、日本でリリースされた当時のアナログ盤そっくりのミニチュアを再現する必要があるのかは謎)、素材競争(SHM-CD, HQCD, Blu-spec CD)と続き、まだまだレコード会社の市場掘り起こしは継続しているようです。

ボーナストラック追加盤、ボーナスディスク追加のデラックス仕様、リマスタリングは何度か繰り返したりと音源面での市場掘り起こしの方が派手に行われていますが、今回は割愛。

さてさて、基板(ポリカーボネート)を新素材でという素材競争が継続していたわけですが、今度は反射面(アルミニウム)を変更して・・・というもの。

素材競争では、通常CDに比べ「現在お手持ちのCDプレーヤーで、小さなボリュームでも大音量でもその違いを実感できます。」と断言したりと本当かよ!とツッコミが入ったりしてましたが、今度のプラチナSHMでは、CDプレイヤーで再生できるけど、CD規格じゃありませんというもの。
プラチナSHM-CDではなく、CDの文字が抜け、「プラチナSHM」という名称になってます。

CD-DA規格じゃないもの、と言えばCCCD(コピーコントロールCD)をせっせとリリースしていた時代を思い出してしまいますが、今回はパッケージメディアの「質」を向上させ、買う価値を高めるための規格外品ということのようです。

CCCDという邪悪なモノ(CDプレイヤーを破壊するかもしれないもの)を最後まで粘って発売していたのが、ユニバーサルに吸収されたEMI。(メジャー4社がメジャー3社になってます。SONY, UNIVERSAL, WARNERの3社に)

CCCDに関しては負の遺産となっていますが、レコード会社は反省してない様子。(CCCDをやめる理由もとってつけたようなものでしたしね)
過去にリリースしたCCCDを普通のCDへ「リコール」しないとレコード会社への信頼感は戻らないと思うんですけど。ま、CCCDのものをCDで再発ってだけでも買い替え需要があるんで、レコード会社としてはおいしい商売なんでしょうが。CCCDについては過去に書いたもので、そちらを。

関連:CCCDの反省をしないまま「高品質」CDへという変な流れ


閑話休題。
高音質で販売ということであれば、ダウンロード販売でいいんじゃないの?と思うところですが、やっぱりパッケージじゃないと駄目という人が多いようです。

日経トレンディネット - もはやCDでもない高音質ディスク“プラチナSHM”は広まるか?
日本レコード協会によれば、このうち日本の売り上げのシェアはパッケージが80%となっており、1位である米国のパッケージ売り上げが34%しかないことを考えると、今もパッケージを楽しむ文化があることが分かる。
パッケージメディア、やっぱり好きなんですよ、日本では特に。

価格は3,800円。この値段はCDが発売された時代を思い出します。
(初期の国内盤CDって物品税も加わっていたから高かったんですよ。3,800円、3,500円、3,200円という感じ。アナログ盤は2,800円、2,500円だったかな)

海外では、Blu-rayディスクにハイレゾ音源を収納したパッケージがリリースされはじめ、Blu-rayプレイヤーで再生できる形態の高音質な音楽パッケージ(Blu-rayオーディオ)のリリースも始まっています。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20130807/1051342/?ST=life&P=1
逆に次世代を担うべく登場した「SACD(Super Audio CD)」や「DVDオーディオ」は、確かに音質的には高いものの専用機が必要だったりソフトが少なかったりで、思うように普及はしていない
そうした流れを背景に音質アップとハイエンドなディスクとして誕生したのが今回登場したプラチナSHMというわけだ。

狙っている購買層(ターゲット)は再生機器(オーディオ)にお金をつかう層でもあるはずなはずなのに、それなのになぜ「CDプレイヤーでの再生」に固執するのかは謎です。

AV Watch - 純プラチナ採用高音質ディスク「プラチナSHM」
 ただし、プラチナは反射率がアルミよりも低いため、CD(CD-DA)の規格には適合しない。そのため、完成した「プラチナSHM」は多くのCDプレーヤーで再生はできるが、CDではない。2社では「オーディオ愛好家向けのハイエンドなCD再生機用ディスク」と表現している。しかし、ユニバーサルミュージック USMジャパン インターナショナル・カタログ部の塩川直樹マネージャーによれば、「21世紀に入ってからの製品で、CD-Rの再生も想定しているような製品であれば問題なく再生できる。'90年代の古いCDプレーヤーでは、再生できない可能性もある」という。
「再生できない」だけならいいんですけど、反射率が低いことが原因で古いCDプレイヤーに与える影響がどうなのか、壊すことがあるんじゃないのかと疑問に思うところ。

DVDプレイヤー(PCで言えばDVDドライブ)の登場あたりで光学メディアのピックアップのに対する技術が向上。これが1990年代終盤ですから、それ以前のCDだけという時代の製品、CD-Rの再生も無理なCDプレイヤーじゃ再生できない可能性は高そうです。

あと希少金属をこういうところに使うというのには抵抗があるんですが、そんなに売れないから大丈夫ってことなんでしょうか?

抽選で1000名にサンプラーを送ってもらえるようなので、気になった方は応募してみてはいかがでしょうか。(8月31日までです)
http://pt-shm.jp
https://s360.jp/form/30571-2172/

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